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日本獣医生命科学大学 後援会
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活動報告

講演会のこれまでの活動をまとめています。

日本獣医生命科学大学父母会主催講演会
「ゴリラの森でうんちを拾う」

6月9日の18:00から20:00にB棟5階511講義室において、「ゴリラの森でうんちを拾う」と題して、腸内細菌と生体の関係を長く研究され、本領域における第一人者である牛田一成教授と、日本獣医生命科学大学をご卒業後、とくに野生動物の腸内細菌研究に従事、2016年度の朝日新聞社主催の「関西スクエア賞」を受賞された土田さやか先生にご講演いただきました。

近年、脳腸相関などの詳細な研究が進み、生体における腸内細菌の役割、重要性が明らかにされつつあり、腸内細菌を整えることが人のみならず、動物でも重要なことが分かってきています。さらに近年はDNAを分析する技術が進み、腸内細菌が果たす役割がどんどん解明され、医療域にも活用が進んできています。
牛田一成先生からは、先生が動物の腸内細菌研究を始めたきっかけから、腸内細菌研究に活用する技術の進展(とくに遺伝学的解析技術)とともに、そのフィールドをアフリカのゴリラからヒマラヤの氷河にまで拡げることができたこと、そして腸内細菌を調べることによりどのようなことがわかるのか、どのように活用できるのかまでわかりやすくお話しくださいました。
一方、細菌そのものが持つ機能を解析するためには、現在の遺伝学的手法に加えて、糞便から細菌を分離するといった古典的手法も大切であることをご教示くださいました。薬剤耐性菌の蔓延が国際的な問題になっている中、ヒマラヤなど世界中の氷河から薬剤耐性菌が分離されているというお話は衝撃的でした。

土田先生からは、アフリカのジャングルの中という大学の研究室とは全く異なる環境でも、工夫することによって完全ではないにしても同じような精度の実験を遂行することが可能であり、多くの目的を達成できることを体験に基づいてお話しいただきました。本学から京都府立大学までの研究継続がゴリラから新種の乳酸菌を発見につながったことや、絶滅が危惧されている日本ライチョウ(人工飼育)を自然に還すための腸内細菌研究等を例に挙げながら、成果を生むためには現場での粘り強い研究が必要なことをあらためて教えてくださいました。

当日は、約70名の熱心な聴講者にお越しいただき、講演後の活発な質疑応答が行われ、フィールドと研究室をつなぐ研究の面白さ、大切さを感じていただく講演会になりました。両先生から「意志さえあれば未来に制限はない」というメッセージをいただき、学生さんにとっては、志を高くもって飛び出していく勇気を教えられた機会になったものと思います。
最後になりましたが、当日ご講演いただいた牛田先生、土田先生、会場をご提供いただいた阿久澤学長、柿沼学生部長をはじめとした先生方、赤星教務・学生課長や会場準備をしてくださった大学職員の皆さん、講演会に足を運んでくださった聴講者の皆さんに感謝申し上げます。

なお、7月29日(14:40-16:30)に大阪市北区 中之島会館で、土田先生の関西スクエア賞 受賞記念講演会 「野生動物のおなかの中の秘密をさぐる 共生腸内細菌ハンティング?」 が開催されます。同時に京都大学総長の山極寿一先生の特別講演もありますので、奮って聴講ください。
申し込み方法など、詳しくはhttp://www.kansai-square.com/をご覧ください。

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