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日本獣医生命科学大学 後援会
日本獣医生命科学大学 後援会

活動報告

講演会のこれまでの活動をまとめています。

医獣祭の最終日の11月5日(日)、同窓会と後援会の共催で、ホームカミングデーの一環として、齊藤慶輔氏(猛禽類研究所代表)による特別講演が開催されました。
テーマは「絶滅の危機に瀕した猛禽類との共生を目指して~北海道における希少種保全の最前線から」です。

齊藤慶輔氏は、日本獣医畜産大学 (現 日本獣医生命科学大学)獣医学科(野生動物学教室)を卒業されています。[1992・V40期]

この日のB棟 5階 511講義室には、開催時間前からたくさんの人が来場されていました。

ホームカミングデーは、同窓会の左向敏紀会長の挨拶と、同窓会についての説明から始まりました。
齊藤慶輔氏もまた、本学の卒業生であり、同窓会の会員です。
隣に立った左向会長が紹介をする際、冗談を交えると会場が和やかな笑いに包まれました。

【主催団体である同窓会の左向敏紀会長が、同窓生でもある齊藤慶輔氏を紹介しました。】

鈴木浩悦学長からも、ご自身が同窓生である事、卒業後も同窓会の会員としてつながり合う事の大切さについて話されました。

特別講演は、齊藤慶輔氏による会場に向けての質問から始まります。
出演したテレビ番組「ワイルドライフ」「ダーウィンが来た!」を視聴したかどうか、挙手での回答を求め、「ワイルドライフ」で挙手をした人には
「えらい長い時間の番組を見てくれてありがとう」
とおどけた様子で感謝すると会場のあちこちで笑顔がこぼれました。

1994年より環境省 釧路湿原野生生物保護センターで、野生動物専門の獣医師として活動され、2005年に猛禽類医学研究所を設立し代表をされています。
絶滅の危機に瀕した猛禽類のオジロワシやシマフクロウの保護活動を説明されていました。
野生動物と人間の間にある軋轢を軽減し、より良い共生のための自然環境の改善を「環境治療」と命名。
関係する行政や企業などと反目するのでなく、協力し合いながら保護活動に取り組んでいるのです。
風力発電の風車の羽根にバードストライクして死傷するオジロワシを減らすため、風車を円筒型にしたり、鉛中毒の撲滅のため餌の鹿を撃つハンターに鉛でなく銅の弾を使うようロビー活動を行ったり、高速道路の鳥よけポールや柵などの開発をされてきたそうです。
片翼になり野生に戻せないオジロワシにも安楽死ではなく、第二の生を送れる場を提供していました。仲間や子孫の命を守る鳥よけの柵の効果があるかの検証。鉛中毒になった仲間の命を救うため輸血のドナー。巣から落ちたヒナが野生に戻れるよう、人間ではなく片翼の雌が餌を与えていたのです。

わかりやすいグラフや地図、たくさんの動物たちの写真や動画をプロジェクターの大画面で映し、臨場感あふれる言葉に魅了され、感動の渦が起こりました。

講演終了後、511講義室から512講義室に場所を移し、質疑応答に入りました。
小学生の男の子、中学生、高校生、もちろん日獣大の学生も質問していました。

【齊藤氏の後輩にあたる本学獣医学部の学生からは音楽療法について質問があり、どんな治療方法も「その後の検証が大切」と回答されていました。】

齊藤慶輔氏は、一人一人に丁寧に、科学的な回答だけでなく、哲学的な言葉でも、真摯に答えられていました。
進路に迷う高校生には優しく、次の言葉を紹介していました。
「すべての目的地に道があるわけではない。目的地があるから道があるのだ。」
これは、ロシアのトラック運転手の言葉で、齊藤氏は座右の銘にしているそうです。
「目的地さえしっかりしていれば、いつかはそこに着く。」
野生動物や猛禽類の保護のためになにかできないかと考えて、「猛禽類研究所」を作ってきた道のりがあり、今があると。

齊藤慶輔氏は、まさにホームカミングデーの企画にお招きするにふさわしい、著名な同窓生であり、かつ人格的にも素晴らしい人だと、最後もまた大きな拍手が起こりました。

後援会は、今後も同窓会、大学とともに連携、協力をし、TEAM1として、学生の未来、大学の発展に尽力して参ります。

【講演前、鈴木浩悦学長と談笑する 齊藤慶輔氏。両名とも本学同窓会会員です。】

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